アイキャッチ画像のコード(Processing)
【WSN : L-011】
void setup() {
size(1600, 900);
pixelDensity(2); // Retina / 高解像度ディスプレイ用に輪郭をくっきりさせる(不要なら削除可)
background(245);
stroke(20);
// 1600×900のキャンバスに合わせて余白と間隔を黄金バランスに調整
float startX = 240;
float stepX = 224; // 6個の点が左右均等に収まる間隔
// 左から右へ、点に少しずつ「幅」を与えていく
for (int i = 0; i < 6; i++) {
float x = startX + i * stepX;
// 元のサイズ比(幅600に対して最大32)を1600幅にスケーリング(約2.6倍)
float weight = pow(2, i) * 2.6;
strokeWeight(weight);
point(x, height / 2);
}
/*
// デスクトップにPNG画像を自動保存(Windows / Mac 両対応)
String desktopPath = System.getProperty("user.home") + "/Desktop/eyecatch_point_width.png";
save(desktopPath);
println("保存完了: " + desktopPath);
*/
}- 「理想の点」と「現実の点」のギャップを体感する
- ユークリッド幾何学では「大きさゼロ」と定義される点に、あえて「幅・長さ・面積・体積」を与えたとき、画面上で何が起きるのかを実験する。
point()だけで4つの次元(幅・長さ・面積・体積)を描き切るline()やrect()、sphere()を使わず、すべてpoint(x, y)の集まりだけで幾何学の次元が立ち上がる様子をコードで再現する。
- クリエイティブコーディングにおける「粒(粒子)」の表現力を高める
- ただの座標データだった「点」に重みや物質感を与えることで、メディアアートやジェネラティブ表現の引き出しを広げる。
どうもクリエイティブコーダーのワタタクです。
こちらの記事(【幾何学×Processing】第2回:世界を作る最小の部品「点」の正体とは?)で、古代ギリシャの数学者ユークリッドが言い放った「点とは、部分(幅・長さ・面積・体積)を持たないものである」という定義をご紹介しました。
数学の世界では、点は「大きさゼロの位置情報」です。
でも、実際に手元の方眼ノートにペン先を落とすとインクの粒が滲みますし、Processingで point(x, y); を書けば画面にピクセルの「大きさ」が現れます。
「理論上は大きさゼロなのに、手を動かして描くと、どうしても幅も長さも面積も体積も生まれてしまう」
ならばいっそ、その「現実の点」の性質を逆手にとって、point() だけを使って「幅・長さ・面積・体積」をすべて表現してみようというのが今回の実験です。
point()の基本的な使い方を知りたい人は以下の記事でどうぞ。


この記事を書いた人


クリエイティブコーダー
「才能」ではなく「発見」で描く。文系・36歳からの上達ログ。
- ゼロから独学でクリエイティブコーディングに挑戦し、以下の実績を達成
- 開始1年8ヶ月目までに公募6つに挑戦し、3つ入選(勝率50%)
- KITTE大阪の18メートルあるAxCROSS大型スクリーン
- 虎ノ門ヒルズステーションタワーB2F TOKYO NODE エントランスサイネージで展示
- UN:O(東京大手町)にある会員限定のサテライトオフィスにて2作品選出・常設展示
- 開始1年8ヶ月目までに公募6つに挑戦し、3つ入選(勝率50%)
- 開始1年9ヶ月目に、虎ノ門ヒルズ49階、地上250mのインフィニティプールへ作品提供・展示
「大きさゼロの点」と「物質としての点」の境界線
数学の頭の中にある点は、どんなに拡大してもサイズがありません。
しかし、私たちが画面や紙の上に表現しようとした瞬間、点は「光を放つピクセル」や「紙に染み込むインク」という物質になります。
クリエイティブコーディングの面白さは、まさにこの「抽象的な数式(大きさゼロの座標)」が「具体的な視覚(大きさのある粒)」に変換される瞬間にあります。
今回は、line()(線)も rect()(四角)も ellipse()(円)も封印します。
使う図形命令は point() ただ1つ。ここから「幅・長さ・面積・体積」を順番に立ち上げていきます。
【実験1:幅】strokeWeight() で点に「太さ(幅)」を与える【WSN : L-012】
まずは一番シンプルな実験です。大きさゼロの点に、あえて「幅(直径)」を持たせてみます。


void setup() {
size(600, 300);
background(245);
stroke(20);
// 左から右へ、点に少しずつ「幅」を与えていく
for (int i = 0; i < 6; i++) {
float x = 80 + i * 85;
float weight = pow(2, i); // 1, 2, 4, 8, 16, 32 と幅を広げる
strokeWeight(weight);
point(x, height / 2);
}
}観察結果
左端の strokeWeight(1) は、まだ数学の「位置情報」に近い繊細な粒です。
しかし右へ行くにつれ、point() は「位置を示す目印」から、画面の中で空間を占有する「丸い塊(幅を持つ存在)」へと変貌します。
コードの中身は同じ point(x, y); なのに、幅が32ピクセルになった瞬間、もう「点」ではなく「円(面)」に見えてきますね。
【実験2:長さ】点を並べて「長さ(線)」を立ち上げる【WSN : L-013】
次は、1つでは長さを持たない点に「長さ」を与えます。
やり方はシンプルで、点を少しだけ位置をズラしながら連続で打ち続けることです。


void setup() {
size(600, 300);
background(245);
stroke(20);
strokeWeight(3);
// 点を1ピクセルずつ横にズラしながら300個打つ
for (int x = 150; x < 450; x++) {
point(x, height / 2);
}
}観察結果
見た目は完全に1本の直線ですが、コンピュータの中では line() ではなく、300個の独立した point() が肩を並べて立っているだけです。
さらにこの間隔(x++ の歩幅)を x += 5 に広げると、途端に「線」が崩壊して「点線(点の列)」に戻ります。


「点と点の距離が人間の目の解像度を下回ったとき、点は『長さ』を手に入れる」という幾何学のマジックがここで起きています。
【実験3:面積】点を敷き詰めて「面(広がり)」を作る【WSN : L-014】
幅と長さができたら、次は縦と横の2方向に点を敷き詰めて「面積」を生み出します。
ただベタ塗りするのではなく、点と点の密度(間隔)を変えることで、面の「濃淡」や「質感」まで表現できます。


void setup() {
size(600, 400);
background(245);
stroke(20);
strokeWeight(2);
// 200×200の領域に、ランダムに5,000個の点を打って「面積」を作る
for (int i = 0; i < 5000; i++) {
float x = random(200, 400);
float y = random(100, 300);
point(x, y);
}
}観察結果
枠線(輪郭)を1ミリも描いていないのに、5,000個の点が集まることで、画面の中央に「200×200の正方形の面積」がくっきりと浮かび上がります。
銅版画(エッチング)や点描画と同じ原理。
「面とは、無数の点が密集して生まれた『領域の記憶』である」ということが、コードを書くと直感的に腑に落ちます。
【実験4:体積】点の密度と重なりで「立体(3Dの質量)」を表現する【WSN : L-015】
最後は、いよいよ「体積(3次元の厚みと質量)」です。
Processingの3Dモード(P3D)を使い、球体の内部や表面に無数の point(x, y, z) を配置してみます。


void setup() {
size(600, 600, P3D);
background(20);
stroke(255, 180); // 少し透ける白にして、奥の点の重なりを見せる
strokeWeight(2);
translate(width / 2, height / 2, 0);
// 半径180の球体の空間に、4,000個の「体積を持つ点」を散りばめる
for (int i = 0; i < 4000; i++) {
// 球面上のランダムな角度と、中心からの距離(0〜180)を計算
float theta = random(TWO_PI);
float phi = acos(random(-1, 1));
float r = 180 * pow(random(1), 1.0 / 3.0); // 内部まで均一に詰める数式
float x = r * sin(phi) * cos(theta);
float y = r * sin(phi) * sin(theta);
float z = r * cos(phi);
point(x, y, z);
}
}観察結果
ポリゴン(面)を一切貼っていないのに、手前の点と奥の点が半透明(stroke(255, 180))で重なり合うことで、中心に行くほど密度が高まり、ずっしりとした「質量・体積」を持つ光の球体が画面の中に現れます。
こちらの記事で「物も細かい素材という名の点が集まってできている発見があった」と書きましたが、まさにこのコードの球体と同じ構造ですね。素粒子が集まって物質の体積を作っている感覚そのものです。
まとめ:画面の向こうに「手触り」が生まれる瞬間
- 数学の点: 幅も、長さも、面積も、体積もゼロの「純粋な位置」。
- 表現の点:
point()に太さ・連続性・密度・重なりを与えることで、幅・長さ・面積・体積のすべてを立ち上げることができる「最小の物質」。
「点には大きさがない」という厳密なルールを知っているからこそ、あえてそこに「大きさ」や「密度」を与えたとき、単なるデジタルのドットが、インクの滲みや素粒子の塊のような生々しい手触りを持ち始めます。
基本命令である point(x, y); 1つだけでも、幾何学の視点を持つだけでここまで深く遊べて楽しいですね。
ぜひあなたのエディタでも、点の幅や数を変えて「次元が立ち上がる瞬間」を実験してみてください。
点についてより深く知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
それでは今日もレッツワクワクコーディング。

