- 「幾何学(Geometry)」の本来の意味を直感的に理解する
- なぜプログラミング(Processing)と幾何学の相性が抜群なのかを知る
- 数式を丸暗記せず、「構造」として世界を捉える視点を手に入れる
どうもクリエイティブコーダーのワタタクです。
「幾何学」と聞くと、学生時代に習ったサイン・コサイン、合同の証明、難解な公式を思い出して「うっ……」と身構えてしまう人も多いのではないでしょうか。
でも、クリエイティブコーディングの世界で扱う幾何学は、テストで点数を取るための計算ではありません。
「目に見える形は、どんなルール(構造)で成り立っているのか?」を解き明かすための道具です。
今回はシリーズ第1回として、これから「点」「線」「面」を学んでいく前の土台となる「幾何学の正体」を、言葉とコードの視点から分かりやすく紐解いていきます。
この記事を書いた人


クリエイティブコーダー
「才能」ではなく「発見」で描く。文系・36歳からの上達ログ。
- ゼロから独学でクリエイティブコーディングに挑戦し、以下の実績を達成
- 開始1年8ヶ月目までに公募6つに挑戦し、3つ入選(勝率50%)
- KITTE大阪の18メートルあるAxCROSS大型スクリーン
- 虎ノ門ヒルズステーションタワーB2F TOKYO NODE エントランスサイネージで展示
- UN:O(東京大手町)にある会員限定のサテライトオフィスにて2作品選出・常設展示
- 開始1年8ヶ月目までに公募6つに挑戦し、3つ入選(勝率50%)
- 開始1年9ヶ月目に、虎ノ門ヒルズ49階、地上250mのインフィニティプールへ作品提供・展示
幾何学の正体:語源から本質を探る
「土地を測る」ことから始まった
幾何学は、英語で Geometry(ジオメトリー) と言います。 この言葉は古代ギリシャ語の2つの単語からできています。
- Geo(ゲオ) = 地球、土地
- Metry(メトリー) = 測る、計測する
古代エジプトでは、ナイル川が毎年氾濫するたびに土地の境界線が消えてしまっていました。「どこからどこまでが誰の畑だったのか」を正確に測り直すために、杭を打ち、ロープを張り、直角や三角形の性質を使って境界を再現した——これが幾何学の始まりです。
つまり、幾何学の原点は「混沌として見えなくなった境界を、論理的なルールで正しく引き直す技術」でした。
日本語の「幾何」ってどういう意味?
日本語の「幾何(きか)」は、中国でマテオ・リッチという宣教師らが『原論』を翻訳した際、ラテン語の Geo の発音に「幾何(ジーホー)」という漢字を当てた音訳が由来と言われています。
同時に、「幾何」という漢字そのものには「幾ばくか(どれくらいあるか?=大きさ・量)」という意味があります。 形が持っている「長さ」「角度」「広さ」「比率」を問いかける学問、それが幾何学です。
デザイン・アートにおける幾何学の役割
アートやデザインにおいて、幾何学は単なる「定規で引いたような冷たい図形」ではありません。


以前、直方体の描き順についての記事で「外枠から描くと歪む。中心の垂直な軸(大黒柱)から描くことで空間が安定する」という話をしました。
これもまさに幾何学の思考です。
- 感覚だけで描く = 外枠からなぞって形が歪んでしまう
- 幾何学的に描く = 空間の「軸」「交点」「角度のルール」を見抜き、骨組みから組み立てる
どんなに複雑に見える美しい建築も、自然の貝殻の螺旋も、デジタルアートの流麗なグラフィックも、分解していくと「点・線・面」というごく単純な幾何学ルールの積み重ねでできています。
幾何学を学ぶとは、表面のデコレーションに惑わされず、「その形の骨格(構造)を見抜く眼」を手に入れることなのです。
なぜProcessing(コード)で幾何学を学ぶのか?
幾何学を紙と鉛筆だけで学ぼうとすると、途中で計算や作図の手間が壁になります。 しかし、Processingというコードの環境を通すと、幾何学は「動かして遊べる実験場」に変わります。
Processingの画面は、数学でいう「直交座標(デカルト座標)」そのものです。


void setup() {
size(400, 400);
background(240);
// 1. 点を打つ(最小の幾何学)
stroke(0);
strokeWeight(8);
point(200, 200);
// 2. 2つの点を結んで「線」にする
strokeWeight(2);
line(100, 100, 300, 300);
// 3. 閉じたルールで「面」を作る
noFill();
stroke(100);
rect(150, 150, 100, 100);
}- 頭の中の抽象的なルールをコードで1行書く
- 画面上に即座に「形」として立ち現れる
- 数値を少し変えるだけで、形がどう歪み、どう調和するかがリアルタイムで分かる
紙の上では何時間もかかる数百本の線の計算も、コンピューターなら1フレームで描き出せます。 「数学的な原理」に「プログラミングの処理能力」を掛け合わせることで、私たちは人類が積み上げてきた幾何学の美しさを、最も手触り感のある形で追体験できるのです。
4. まとめ:世界は最小のパーツから立ち上がる
- 幾何学(Geometry) とは、土地を測り、境界を正しく定めることから始まった「形のルール」
- アートにおける幾何学は、表面の外枠ではなく「見えない骨組み(構造)」を掴むための視点
- Processingを使うことで、数式を「頭の計算」から「目に見えて動かせるビジュアル」へ変換できる
家を建てるときに基礎の杭から打ち始めるように、幾何学もまた、一番シンプルな構成要素から始まります。
次回は、あらゆる図形と空間の始まりでありながら、面積も長さも持たない不思議な存在——「点」の正体に迫ります。画面に point() を1つ打つとき、コンピューターと数学の世界で何が起きているのかを解き明かしていきましょう。
それでは今日もレッツワクワクコーディング。

